一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-48
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「消費者信用」に関する高等学校家庭科の授業提案
*松本 佐紀子湯川 聰子立松 麻衣子
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抄録

【目的】キャッシュレス社会化が進み,手元に現金がなくても商品を購入できる一方,契約やカードに対する理解不足から,種々のトラブルが発生することが増えている.本研究はカード,契約,金利計算などの消費者信用に関わる基礎的な知識を提供する家庭科の授業を提案し,生徒たちを自立した消費者に育てる一助とすることをめざしている.消費者としての生活力を高める授業を提案することで家庭科の存在価値を主張したいと考えた.【方法】2003年11月_から_2004年3月に大学生・高校生を対象に「消費者信用」に関する実態と意識を調査し,この結果に基づいて指導計画を作成した.次に2004年5月に大学生を対象とした予備授業を行い,その結果を修正して,同年6月高等学校「家庭基礎」において3クラス6時間の授業を実践した.授業の前後に事前事後調査を実施し,結果を検証した上で,A,B,Cの3案から成る「消費者信用」学習指導案を完成した.【結果】意識調査の結果,消費者金融会社の名前はCMなどで非常になじみ深いものになっている一方,その金利について正しい認識を持っているものは高校生で13%,大学生でも28%であり, 問題のあることがわかった. そこで授業はA授業「カードと消費生活」とB授業「消費者金融」の2パターンを実施し,大学生による予備授業を経て,高校で実践した.事前事後調査の結果,両授業の内容理解度はA授業では40%から90%へ, B授業では20%から90%へと有意に向上していた. 興味関心を高めることもでき, 授業レベルについては適切であるという評価が得られた. しかし, この2授業だけでは金利の計算力が不十分であることも判明し,C授業「利息と計算」の授業を追加した授業提案とした.

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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