一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 1P-50
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共生時代における家政学の社会的意味
-ランフォード・キッチンと栄養教育の芽生え-
住田 和子*香川 晴美
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抄録

【目的】E.H.S.リチャーズ(1842―1911)は、ヒューマンエコロジーを、正しい生活を導き健康で幸福な家庭を築くための知識体系と捉えた。健全な家庭生活を実現するための社会改良運動を展開していく過程で、彼女はシカゴ万国博覧会(1893)においてランフォード・キッチンというパブリック・キッチンを計画した。本研究ではランフォード・キッチンに焦点を当て、当時のホームエコノミクス運動との関わりでランフォード・キッチンという試みの意義を究明する。【方法】ランフォード・キッチンを訪れた人々に公開されたリーフレットをまとめた書物(The Rumford Kitchen Leaflets)を中心とした一連の文献研究である。また、キッチンに関する彼女の報告書など、関係史料の精査をも並行させて展開する。【考察】リチャーズは、その著作(The Cost of Living)のなかで、広い意味で心身の健康に関わるすべてを含んでいるのが衛生科学的知識、と述べているが、ランフォード・キッチンは、科学的見地から食べ物を調理することをわかりやすく人々に提示することを目指したといえる。シカゴ博覧会での試みは、生活改良支援運動としてのホームエコノミクス運動を背景とした科学教育の啓蒙であったと考えられる。また、彼女は、当時ハル・ハウスというセツルメントハウスの調理場についても、助言をしている。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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