【目的】本研究の目的は、昼間の照明計画として昼光と室内照明の適切な併用方法を明らかにすることである。昼光利用時の室の視環境評価には、室の大きさや内装、窓形状、昼光環境、室内照明などの多くの要因が影響を与えている。本報では、室内照明の器具種類とその出力を検討対象として行なった実験の結果を示す。 【方法】12畳のリビングを想定した1/5 縮尺模型を用いた主観評価実験である。壁と天井は反射率77%、床は33%である。模型内には人形とテーブルを設置する。被験者は3名、ソファーに座ってくつろぐ状態での眼高75cmを想定して頭部のみを模型内部に挿入する。条件を変化させる毎に30秒間順応する。実験変数は、屋外の明るさ(4段階)、室内の明るさ(5段階)、室内照明の器具種類(3種類:シーリング、ダウンライト、ブラケット)である。評価は、室内の明るさ、室内の明るさのバランス、人形の視認性、まぶしさなどである。 【結果】室内の明るさに関しては、屋外の輝度が低い場合に室内照明を点灯させることで、室内の明るさ評価を高くすることが可能である。しかし、屋外が非常に高輝度な場合は室内照明を併用させても明るさ評価は変化しない。また、被験者によって異なるものの照明器具によっては昼光と併用させることで昼光のみのときよりも明るさ評価が低くなる条件がある。 室内のバランスと室内外の明るさのバランスに関しては、屋外の輝度が高い場合、シーリングを用いると昼光のみの場合と同程度の評価であるが、ダウンライトやブラケットでは評価が適している側に変化する。この原因として、室内の輝度分布が影響していると考えられる。視認性・まぶしさ評価に関しては顕著な違いは認められない。