抄録
【目的】高齢者の生活のなかに「役割」があることは、高齢者が「自分は必要とされている」と感じ、生きがいのある生活の実現につながる。本研究では、高齢者に生きがいのある生活を送ってもらう方法として、高齢者と子どもとの交流を取り入れるインタージェネレーションケアは有効な方法の一つではないかと考えている。そこで、高齢者の生活に「役割」を作る方法としてインタージェネレーションケアを取り上げ、その効果を検討すべく実態把握を行った。
【方法】インタージェネレーションケアを実施している高齢者施設を訪問し、ヒアリング調査および観察調査を行った。調査対象は8事例、調査期間は平成18年9月である。
【結果】調査施設における高齢者の生活に「役割」を作るための取り組みを整理すると、(1)高齢者が暮らしを継続するための活動を行う、(2)高齢者とスタッフとの対等な関係性を作る、(3)高齢者が面倒をみる相手を作る、(4)高齢者が次世代に文化を継承する機会を作る、(5)高齢者が気持ちを癒される相手を作る、(6)高齢者が地域で暮らしていると実感できる機会を作る、という内容に分類できた。そのなかでインタージェネレーションケアは(3)~(6)の内容に該当した。本調査において把握したインタージェネレーションケアでは、‘計画性と継続性のある日常生活での交流’は、高齢者と子どもの関係性を作りやすくし、高齢者にとって継続的な効果があるように見受けられた。また、高齢者・子どもの集団は小規模である方が‘計画性と継続性のある日常生活での交流’を行いやすいが、大規模施設であっても施設の意図的なマネージメントによってその交流が活発になる。