一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2B-5
会議情報

若年女性における赤血球葉酸値、血漿葉酸値の実態
*篠崎 圭子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的:神経管閉鎖障害(NTD)は妊娠可能年齢にある女性の積極的な葉酸摂取によりその発症が抑制されることが諸外国で多く報告されている。本研究では、1.若年女性を対象にNTDと葉酸に関する認知率を把握すること、2.葉酸摂取量および赤血球葉酸値、血漿葉酸値を測定し、その実態を把握すること、3.血液中葉酸値が低値を示した被験者に対して14日間葉酸を摂取してもらい、血液中葉酸値の推移を調査することを目的とした。
方法:1.女子学生67名を対象に葉酸とNTDに関する独自のアンケート調査を行った。2. 1.の学生のうち38名を対象に食事調査を行い、赤血球葉酸値および血漿葉酸値の測定を行った。3. 2.で血液中葉酸値が低値を示した3人に対し、葉酸200μg含有食品を1日2個、14日間摂取してもらった。
結果:アンケート調査で、NTDという病気を知っていた人は19人(28.4%)であった。食事中葉酸摂取量は299.4±142.7μg/日、赤血球中葉酸値は631.8±145.7nmol/L、血漿葉酸値は14.1±5.3nmol/Lであった。また、葉酸摂取量と赤血球葉酸値には有意な正の相関がみられた(r=0.368, p=0.023)。血液中葉酸値が低値を示した被験者の葉酸摂取前後の赤血球葉酸値の増加率はそれぞれ18.6%、58.6%、59.1%、血漿葉酸値の増加率は67.6%、169.6%、193.5%であった。
結論:若年女性のNTDの認知率は低く、赤血球葉酸値、血漿葉酸値も低値を示した。血液中葉酸値が低値を示した人の14日間の葉酸負荷では、赤血球葉酸値は血漿葉酸値と比較して増加率の上昇が低く、また個人によって血液中葉酸値の増加率が大きく異なる事が示唆された。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top