一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2P-5
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米飯保存方法の違いによるレジスタントスターチ量の変化
*亀井 文
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抄録

目的 胃や小腸で消化吸収されることなく大腸にまで到達するデンプン、レジスタントスターチ(RS)は腸内細菌の発酵基質として利用され、そこで産生された短鎖脂肪酸は大腸の健康に重要な役割を果たしている。最近はその生理作用が注目されているが、でんぷん性食品のRS量が調理やその後の保存方法によってどのように変化するのかを調べた研究はあまり多くない。そこで本研究は、我々が最も日常摂取している米を用いて炊飯後の保存方法の違いによるRS量の変化について実験を行った。
方法 本実験は新潟県産コシヒカリを用いた。実験1は炊飯後の飯を室温で2時間放置後サランラップに包み、冷蔵庫(庫内温度5℃)、冷凍庫(庫内温度-20℃)に各々6日間保存後、電子レンジで解凍したRS量を測定した。対照として炊飯後室温で2時間放置後の飯のRS量を測定した。RS量測定はレジスタントスターチ測定キット(メガザイム社)を用いて行った。実験2は冷蔵庫で1日、6日、10日間保存後、実験1と同様にRS量測定を行った。
結果 実験1では、RS量は炊きたてが0.325(g/100g)、冷蔵飯で0.525(g/100g)、冷凍飯で0.405(g/100g)となり、冷蔵飯が炊きあがり飯、冷凍飯に比べ有意に多かった。デンプンが最も老化しやすい温度は0~4℃であり、冷蔵保存は5℃とその温度帯に非常に近かったため冷凍保存より老化が進み、RS量が多くなったと考えられた。実験2は炊きたてが0.360(g/100g)、1日冷蔵飯0.497(g/100g)、6日冷蔵飯で0.469(g/100g)、10日冷蔵飯0.443(g/100g)となり、炊きあがり飯より冷蔵飯のほうが増える傾向が見られたが、冷蔵期間を増やしてもRS量に変化はみられなかった。

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