一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2J-3
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和室の現状と居住者の意識からみた和室空間の将来像を考える
第3報 和室に対する意識
*竹原 広実佐々 尚美梁瀬 度子
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キーワード: 和室, 意識, 使用用途
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抄録

【目的】居住者の和室に対する意識を把握することを目的とした。【方法】和室に対する思い入れやこだわる点、必要な設備などといった現状の和室の捉え方と、今後の要望など居住者の意識に関する設問を作成しアンケート調査を行った。【結果】「和室が好きかどうか」については[とても好き][まあ好き]が97%、また[和室は落ち着く]が96%と多くの者にとって和室は好きな落ち着く空間である。しかし、その必要性については[和室は絶対必要][必要]は約60%程度に留まり、「和室に対する思い入れの有無」では[思い入れがある]は32%と少ない。「和室に対する思い入れの有無」がどういった要因から構成されているかを知ることが今後の和室のあり方の展望に繋がるのではないかと考え、以下この項目を中心に検討を行った。居住地域については近畿と比較して他の東北、中部、北陸、山陰、東海は「思い入れなし」の割合が多い。「和室の使い方」では有意差が認められ[居間として][ゴロゴロする]など日常的な用途は[思い入れなし]が多く、対して[客間として][季節の行事]など非日常的なハレの空間としての使用で[思い入れあり]が多い。また年齢についても有意差が認められ若年者ほど[思い入れなし]の割合が多く、年齢が高くなるにつれ[思い入れあり]の割合は増え、高齢者層で逆転する。高齢者層は[洋風よりも和風のインテリアを好む]傾向であり、思い入れと現住宅での和室の使い方との関連は薄い。一方、若・中年者層は和室の使い方と思い入れとの間に有意差が認められ、地域差はない。このことから高齢者は彼らが育った住環境への愛着が、若・中年者は現住宅での和室のあり方が思い入れを構成する要因のひとつと考えられ、年齢層によって和室への思い入れを構成する要因が異なる。

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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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