一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 3B-13
会議情報

大学生における偏食の分類方法が食教育観に及ぼす影響
*井奥 加奈川縁 千織
著者情報
キーワード: 偏食, 食教育, 大学生
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 食教育において、子どもの偏食を是正することは重要であるが、大人の偏食も少しずつでは増える傾向にある。2008年に大阪府下の教員調査からは50歳以上の73%が偏食なしと回答したのに対し、20歳代の21%が偏食ありと回答したという結果を得た。本研究では最終的には教員の偏食が食教育実践に及ぼす影響を検討する目的で、大学生を対象に偏食の分類方法による食教育に対する意識に及ぼす影響を検討した。大学生に対して2009年 10-11月に直接配布・直接回収を主とした質問紙調査を実施した。回収票数は267(男子135、女子132)であり、回収率は82.7%であった。偏食の分類方法は(1)回答者判断による方法(食べられない物の有無)、(2)具体的な食品名を挙げて質問する方法、(3)食行動調査による方法、の3通りを設定し、偏食定義に対する意識や子どもの食生活に対する意識などを合わせて質問した。回答者判断による群分けでは、偏食教育に対する意欲に関する項目に有意なものが多く、他の分類より有意な項目は多かった。具体的な食品を挙げる質問形式では、挙げられた食品数によって回答者を分類したが、偏食観に対する有意な群間差は1項目(子どもの偏食は仕方がない)のみに現れた。食行動による分類では因子分析により4つの因子を抽出した。4つの因子の累積寄与率は59.4%であり、そのなかの偏食経験に関する因子による分類が他の因子とは異なる傾向を示した。この分類では偏食観に対する有意な群間差が1項目(子どもの偏食は成長とともに是正されるので配慮は不要)のみに現れた。ゆえに、偏食教育に対する意欲を検討する場合は回答者判断による方法も良いが、偏食が食教育に対する考え方に及ぼす影響を検討するには多面的な検討を要することが示唆された。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top