一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 3B-14
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宮崎県内の小学校・中学校における食育の実態調査
*篠原 久枝奥田 豊子田中 紀子浅野 恭代康 薔薇濱口 郁枝土田 幸恵
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キーワード: 食育, 学校, 味覚
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抄録

【緒言】2006年に宮崎県の食育推進計画が策定されたが、食育推進モデル校(2006~2008)の取組みでは「年間計画に無理があった」「学校全体での関連の工夫」などの課題があげられた。一方,演者らの保育所を対象とした食育の実態調査から,子ども達の味覚や咀嚼の問題が明らかとなった。そこで本研究では、県内の各小学校・中学校における食育の取組みと課題,味覚・咀嚼教育についての実態調査を行った。
【方法】2009年10月~11月に宮崎県内の全小学校262校、全中学校146校、小中一貫校1校を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。有効回収数(率)は小学校159部(60.5%)、中学校79部(53.7%)であった。統計処理はSPSS Ver.17.0で行った。
【結果・考察】食に関する年間計画の作成状況は小学校79.3%,中学校62.0%であった。食育の取組み状況は「食に関する指導6項目」は「食文化」を除いてある程度行われていたが,「味覚教育」については認知度も低くあまり行われていなかった。食育実践の具体的な内容は小学校では地域と連携した「栽培活動」「農業体験」が最も多く,高学年になると「料理講習」も多くなった。中学校では「料理講習」であった。小学校,中学校ともに「食事バランスガイドの活用」は低かった。食育活動により「食への関心」は高まっているが,「生活リズム」「適正体重」「排便」などの生理的な側面についての変化はあまり見られなかった。課題としては「予算の確保」「時間の確保」「栄養教諭の配置」があげられた。保育所の結果と同様に「濃い味を好む」「柔らかいものを好む」など味覚や咀嚼の問題が顕著であったが,味覚教育や咀嚼教育の取組みは十分では無く,今後これらの教育の構築が望まれる。

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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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