一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3P-19
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ポスターセッション 5月13日
長野県六農村の主食と副食物の変化
『日本の食文化』を基礎資料として
*中澤 弥子
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抄録

【目的】本研究の目的は、昭和16年に全国的に行われた食文化に関する民俗学的調査と同様の聞き取り調査を長野県農村部において行い、両者を比較し現在においても残されている食文化とここ数十年の間に失われた食文化を確認し、さらに社会の変化の影響や文献調査により社会全体からの影響や当該地域の状況を裏付けることで、食文化の変化の時期や原因について明らかにすることである。本論文では、主食および副食物の調査結果について報告する。
【方法】調査対象は、長野県内の6地域〔川上村、豊里村(現上田市)、北小谷村(現小谷村北小谷)、南穂高村(現安曇野市)、高木村(現下諏訪町高木)、麻績村〕である。基礎調査に記載された調査地名、話者名を参考に、原則、同地域出身または同地域内で30年以上暮らしている者を調査対象者とした。川上村、豊里村、南穂高村は平成13年12月~平成14年1月、北小谷村、高木村、麻績村は平成15年12月~平成16年3月および平成16年12月~平成17年3月のいずれも農閑期に主な聞き取り調査を行った。
【結果】昭和16年当時は、いずれの地域も自給自足による食生活が営まれ、日常の主食については、米を節約する工夫が米の収穫量に応じて、各地域で行われた。副食物については、いずれの地域も味噌、漬物、味噌汁が中心で、冬場や田植えなどの繁忙期の副食物には気候を活用した保存食の利用など特徴が認められた。現在に至る変化としては、現金収入が増加し自給自足が崩れ、主食は米を食べるように変化し、副食物は一部に自家用野菜を利用するが、多くを購入して食べるように変化した。

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