目的 従来,茶の生産量は,世界的にみれば80%以上は紅茶が占めていた.しかし近年,緑茶の需要の高まりを受けて,緑茶の生産は増加の一途を辿り,2010年には茶の生産量420万tの中,30%以上も緑茶が占めるようになった.その生産国は,紅茶生産国として知られているインドやスリランカ,ケニア,トルコにも広がりを見せ,今後ますます増加するものと考えられる.本研究では,この国際的飲料である緑茶や紅茶について,その風味と同位体比,ミネラル成分を明らかにすることを目的とする.方法 2013年8月,トルコ(リゼ)のチャイクル社で製造され,等級分けされたOP~Dまでの7種を試料とした.茶葉の大きさ(粒度)や,茶浸出液のポリフェノール,アミノ酸,カフェイン,香気成分,水色の測定,茶葉に含まれる12Cと13C等の同位体比,即発γ線によるミネラル成分を測定した。さらに味覚センサーと官能評価により風味の特徴を明らかにした.結果 トルコでの茶の製造方法は,ハサミ摘みで摘採され,さらに紅茶は,ローターベインを用いることが特徴的であった.茶園は密植状態であり,有機栽培で行われていた.紅茶水色は赤みが薄く,青臭を伴い,カテキン含量は低い値として示された.官能評価では渋味も穏やかとの評価が得られ,味覚センサーでの測定値もほぼ同様の結果であった.