抄録
腱板断裂患者は,坐位や肩を温めることで夜間痛が緩和することがある.我々は夜間痛を有する腱板断裂患者において前上腕回旋動脈上行枝(以下AHCA)の収縮期血流速(以下PSV)が速くなっている事を報告した.そこで坐位や肩を温めることで,AHCAのPSVが遅くなるのではないかと仮説を立て,健康成人において坐位と肩関節加温下でのPSV変化を測定し解析した.健康成人10名を対象とし,以下の2つの状況でAHCAのPSVを測定した.体位変換実験は,10分間の安静臥床後,坐位に変換させた.加温実験は,10分間の安静臥床後,5分間42℃で肩関節周囲を加温した.体位変換では,臥位20.0cm/s,坐位直後10.4 cm/sと坐位で有意にPSVの低下を認めた(P<0.05).温度変化では,加温前20.7 cm/s,5分加温後17.7 cm/sと有意にPSVの低下を認めた(P<0.05).健常肩における坐位と加温状況での2つの実験においてPSVの低下が認められ,実際の患者における関節包血流速の変化と夜間痛の症状との関係が推察された.