肩関節
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解剖
ラット腱板断裂慢性モデルの確立とその肉眼的及び組織学的評価
橋本 瑛子落合 信靖佐々木 裕山口 毅木島 丈博佐々木 康人
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ジャーナル 認証あり

2015 年 39 巻 3 号 p. 600-604

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抄録

 腱板断裂の基礎研究において動物モデルは有用だが,断裂直後に追加処置を行う急性モデルの報告が多く,ヒト肩関節に構造が類似するとされるラットを用いた腱板断裂慢性モデルは確立されていない.本研究の目的は,ラット腱板断裂慢性モデルを確立し,肉眼的及び組織学的評価を行うことである.10週齢SDラット40匹を用い,棘上筋と棘下筋を大結節より切離し腱板断裂を作製し,断裂型に採型したレジンを上腕骨に固定し慢性モデルを作製した.腱板断裂作製のみの断裂群,慢性モデル群,Sham群の3群で,術後4週,12週で肉眼的評価とマッソン・トリクローム染色による組織学的評価を行った.ラット腱板断裂慢性モデルでは,術後12週においても全例で断裂部の肉眼的形態は維持され,その際に腱板の再縫合も可能だった.組織学的にも,術後12週において進行した腱断端の変性を認め,今後このラット腱板断裂慢性モデルの,より臨床に直結した二期的な研究への使用が期待される.

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© 2015 日本肩関節学会
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