2015 年 39 巻 3 号 p. 605-607
腱板広範囲断裂患者では臥位で上腕骨頭が上方化し,肩峰上腕骨頭間距離(AHI)が減少することが知られており,診断に有用である.しかし必ずしも最短距離を計測していないこと,肩峰下面が判別しにくいことがあることが問題である.我々はAHIをより正確に評価するために,トモシンセシスによるAHI評価を試みた.本研究の目的は単純X線とトモシンセシス,3D-CTでAHIを評価し,トモシンセシスにおけるAHI計測の妥当性を検討することである.対象は腱板断裂肩35肩で,単純X線,トモシンセシス,3D-CTのAHIを比較検討した.AHI平均値は単純X線7.1mm,トモシンセシス6.2mm,3D-CT6.3mmであり,トモシンセシスと3D-CTのAHIはほぼ同等で,単純X線はトモシンセシス,3D-CTと比べて有意にAHIが大きかった.したがってトモシンセシスでは単純X線よりも正確にAHIを計測できると考えられた.