抄録
外傷性肩関節前方不安定症に合併する上方関節唇損傷の発生頻度及び発生に影響を与える因子について検討した.鏡視下Bankart法を行った101例を対象とし,鏡視にて上方関節唇損傷の有無,損傷形態を確認し,Snyder分類に準じて損傷なしまたはtypeI型をA群,typeII~IV型をB群とし,術前及び術後6か月のJOA score, JSSSIS, DASHおよび下垂位外旋角度について比較を行った.また上方関節唇損傷の発生に影響を及ぼす因子として,初回脱臼時年齢・脱臼回数・初回脱臼から手術までの期間・骨性Bankart損傷の有無を抽出し,統計学的検討を行った.上方関節唇損傷は全体の79.2%に認め,typeII~IV型損傷を50.5%に認めた.A/B群間でJOAscore, JSSSIS, DASHともに有意差を認めなかった.初回脱臼時年齢が上方関節唇損傷の発生に影響を与える有意な因子であった.