2015 年 39 巻 3 号 p. 687-689
本研究の目的は,腱板断裂患者における術前肩関節内ブロックの効果と鏡視下腱板修復術(ARCR)の術後成績との関連を断裂形態別に比較検討することである.腱板断裂患者50例50肩に対し術前肩関節内注射を施行し,造影剤が肩峰下滑液包側(SAB)に漏出しない場合はSAB注射を追加した.その後1週間以内にARCRを施行し,術前ブロック効果と術後JOAスコアについて検討した.腱内部分断裂ではSAB注射追加後もブロック効果がなかったものの,術後成績は良好であった.また術後1年時評価にて,術前ブロック効果と術後成績の相関は完全断裂で見られたものの,部分断裂では見られなかった.関節内注射は腱板完全断裂の術後予後を予測できる可能性があり,またSAB注射を併用することで部分断裂側を鑑別する一助となる.