抄録
脊椎の矢状面アライメント並びにその可動性と腱板断裂の関連性を調査検討した.対象は下肢疾患での入院患者54例で胸椎後弯角はスパイナルマウスを用いて,第1-12(TK full)と第5-12(T5-12)を立位,坐位,坐位屈曲伸展で計測し,可動性も算出した.単純X線立位骨盤側面像にて仙椎傾斜角(SS),腰椎前弯角(LL)を計測した.腱板断裂の有無は超音波検査を用いた.断裂なし群26例,断裂あり群28例に分け各項目を2群間で比較検討した.結果は坐位TK full,坐位T5-12,立位TK full,立位T5-12はすべて断裂あり群にて有意に大きかった.可動性TK full,可動性T5-12は断裂あり群で有意に少なかった.SS,LLは両群に有意差はなかった.静的な胸椎後弯の増大と動的な胸椎可動性の低下が腱板断裂の要因であると示唆された.