抄録
肩関節鏡視下手術を施行し,術後1年を経過した外傷性腱板断裂(外傷群)33肩と非外傷性腱板断裂(非外傷群)46肩を対象とした.この2群間における患者背景,罹病期間,理学所見,画像所見,術中所見,術後成績を比較検討した.2群間における年齢,性別に有意差を認めなかった.罹病期間は外傷群で有意に短かった.自動挙上可動域は,術前において偽性麻痺症例が多く含まれる外傷群で有意に小さかったが,術後は有意差を認めなかった.術前の筋委縮は外傷群で軽度であったが,再断裂率は2群間で有意差を認めなかった.断裂サイズは2群間で有意差を認めなかったが,外傷群で上腕二頭筋長頭腱の不安定性を有意に多く認めた.術後成績は2群間において術後6か月のASES scoreが外傷群で有意に高く,外傷群で早期改善が得られる可能性が示唆された.その要因として,罹病期間が短く,術前の筋委縮が非外傷群と比し軽度であった事が考えられた.