2015 年 39 巻 3 号 p. 758-762
腱板断裂と肩甲上腕関節の軟骨病変の関係について研究した報告は少ない.今回,我々は腱板断裂サイズ別に軟骨病変の頻度,重症度,局在を調査した.対象は鏡視下腱板修復術を行った70肩(男25肩,女45肩),平均年齢65.4歳(50-75歳).部分断裂・小断裂25肩(S群),中断裂33肩(M群),大・広範囲断裂12肩(L群)とし,断裂サイズ別に軟骨病変の重症度をInternational Cartilage Repair Society(ICRS)分類で評価した.局在は上腕骨頭,関節窩とも9分割し,断裂サイズ別に検討した.軟骨病変の合併率は上腕骨頭側84%,関節窩側27%.断裂サイズと重症度には弱い相関を認めた.上腕骨頭側の病変の局在はS群の半数で前上方に存在し,M群では正中に病変が増加し,L群では正中・後下方を中心に全体に拡大しており,断裂サイズとともに前方から正中,後方に病変が広がると考えられた.