抄録
一次修復不可能な広範囲腱板断裂に対して上方関節包再建術を施行した症例の治療成績について報告する.対象は1年以上の経過観察が可能であった13例13肩(男性9人,女性4人,59歳~79歳,平均年齢69.2歳)とした.最終観察時の日本整形外科学会肩関節治療判定基準(JOAスコア),屈曲,外転,下垂位外旋の自動関節可動域と徒手筋力テスト(MMT),肩峰骨頭間距離(AHI)は術前に比較して有意に改善した.移植筋膜の再断裂は1例(7.7%)に認めた.6例に大結節部のerosionを認めたが,その有無でJOAスコアに有意差はなかった.再断裂を来した症例の術後成績は不良であった.上方関節包再建術は,移植筋膜が再断裂を来さなければ良好な予後が期待でき,一次修復不可能な広範囲腱板断裂に対する有用な治療方法の一つと考えられた.