2016 年 40 巻 2 号 p. 688-693
人工肩関節置換術(TSA),人工骨頭置換術(HHR)の術後10年以上の長期成績を検討したので報告する.対象はTSA,HHRを施行した9例10肩,観察期間は平均11.2年である.自動可動域,JOA score,単純X線を経時的に評価した.自動屈曲はTSA(術前:82°,10年:108°),HHR(術前:68°,10年:142°)であり,外転はTSA(術前:66°,10年:84°),HHR(術前:41°,10年:130°)であった.JOA scoreはTSA(術前:42.8,10年:75.6),HHR(術前:38.0,10年:88.0)であった.TSAでは機能,可動域項目で5年以降に低下した.X線評価では肩甲骨インプラント周囲の透亮像を全例に認め,2例にlooseningを認めた.TSA,HHRの長期成績において除痛は継続的な効果が期待できるが,TSAでは機能,可動域は5年以降に低下した.