2016 年 40 巻 3 号 p. 857-860
鏡視下Bankart修復術前後の肩甲関節窩骨形態の変化について3DCTにて評価することが目的である.対象は2008-13年に鏡視下Bankart修復術を行い,術前,術直後,術後1年以上の3回3DCTを撮影した26例,男性19例,女性7例,平均年齢25.4歳.平均経過観察期間は17.0か月.術前のCTで骨性Bankart損傷の合併を評価した.術直後と1年以上経過したのちのCTの比較で,肩甲関節窩の前下方の骨形態の評価を行った.24例で何らかの関節窩の縫合糸アンカー(以下アンカー)周囲での骨欠損を認めた.特に,骨性Bankart損傷を有さない症例では関節面ではほぼアンカー付近まで骨欠損が進行していた.また関節窩前下方辺縁で新たな面を形成する変化を認めた.鏡視下Bankart修復術後に何らかの骨欠損の進行を認めたが,これは再建された関節上腕靭帯複合体にかかる力学的負荷に対する変化と考えると合目的である.