2015 年 49 巻 5 号 p. 213-218
胃切除術後の食事管理について具体的なガイドラインは存在せず,各施設が経験的手法によって対峙しているのが実情である.
以前慣習的に行われていた分割摂取指導は,介入によって術後の栄養状態にマイナスの影響を及ぼしている可能性があると思われたため,当院においては中止が妥当と判断した.
術後2 日目から退院日までの食種を患者自身に選択させる試みでは75 例中69 例がプログラムを完遂し,従来の段階的食事提供と比較して術後急性期の摂食熱量が有意に多く,除脂肪体重を喪失しやすいとされる術後早期の体重減少率を有意に軽減させた.また適切に選択された症例を対象にすれば,安全性にも問題はなかった.
一連の臨床研究により,患者個々の摂食意欲を可及的に尊重することに最も意義があると思われた.