抄録
てんかん発作による反復性肩関節前方脱臼は,再脱臼の危険性が高く治療に難渋する.2008年以降,てんかん発作に合併した反復性肩関節前方脱臼に対し,鏡視下remplissage法を追加してきた.同期間において術後にてんかん発作が起こった4例について報告する.全例男性,平均20.3歳,術後観察期間は平均45.3ヶ月.3例は術後1週,1ヶ月,1年で発作が起こり,1例の発作時期は不明であった.手術は3例鏡視下Bankart修復,1例鏡視下Bankart修復+腸骨移植が行われ,全例腱板疎部縫縮術とremplissage法が行われた.全例術後再脱臼を認めず,1例で経過中に健側の脱臼が起こった.てんかん発作に対する骨移植においては,骨癒合前に発作が起こると再脱臼の危険性が高い.Remplissage法はHill-Sachs損傷による骨欠損を埋めるだけでなく,力学的にも優位に働くため有効であると考えられる.