肩関節
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筋腱疾患
一次修復不能な腱板断裂に対する棘下筋回転移行術の治療経験
上原 大志鈴木 一秀福嶺 紀明堀切 健士永井 英
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2019 年 43 巻 2 号 p. 487-491

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抄録

 一次修復不能な腱板断裂に対して棘下筋回転移行術を施行した6例(平均年齢66.7歳,平均経過観察期間23.7ヵ月)と対象とした.術前MRIでは棘上筋と棘下筋の大~広範囲断裂が存在し,棘上筋のGoutallier分類は全例grade 4であった.手術は断裂腱をmobilizationした後に,肩甲棘に沿った約5cmの皮切で棘下筋を肩甲骨体部から骨膜下に剥離し,筋腹を完全に遊離させた.棘下筋の断裂断端がsuperior facetを被覆できるように,棘上筋断裂部を支点とした棘下筋の回転移行を行った.術後可動域(術前)は屈曲146.7°(102.5),外転141.7°(102.5),外旋42.5°(28.3)と改善した.JOAスコアは術前56.3点が術後84.2点と改善した.再断裂を1例に認めたが,その他合併症はなかった.棘下筋回転移行術は手技が簡便で,術後再断裂や合併症が少なく臨床成績も安定しており,有用な術式と思われた.

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© 2019 日本肩関節学会
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