2019 年 43 巻 2 号 p. 492-496
鏡視下肩上方関節包再建術(ASCR)における大腿筋膜グラフトの状態を術後MRI画像を用いて経時的に評価した.修復困難な腱板断裂に対してASCRを行い,術後1年および2年時にMRIによる評価を行うことができた30肩を対象とした.術中に作成したグラフトのサイズは長さ5.2 ± 0.4cm,幅2.9 ± 0.5cm,厚さは内側7.5 ± 1.7mm,外側8.6 ± 1.4mmであり,全例グラフトの厚さは6mm以上であった.Graft tearは術後1年時,2年時ともに30例中1例(3.3%)であった.グラフトの厚さは術後1年時7.0 ± 1.6mm,2年時6.8 ± 1.6mmであり,術後1年時と2年時との間に統計学的有意差は認めなかった(p=0.35).Graft tearの割合,グラフトの厚さともに術後1年時と2年時との間に有意な変化は認めず,術後1年時のグラフトの状態が術後2年の時点でも保たれていた.