2019 年 43 巻 2 号 p. 555-558
挙上困難で一次修復困難な腱板断裂に対して,リバース型人工肩関節(以下RS)と棘下筋移行部分修復術(以下PR)の術後短期成績を比較した.手術時平均年齢は69.9(53-86)歳.術後平均経過観察期間は22.3(12-71)ヵ月.手術法はSMR(Lima社, Italia)を使用したRS群(10例)と,mini-open法にて棘下筋腱を前方移行しスーチャーアンカーで固定したPR群(21例)を比較した.検討項目は術後3ヶ月・6ヶ月・最終経過観察時での肩関節可動域と,最終経過観察時のJOA score,外転・外旋筋力を比較した.術後3ヶ月の自動挙上可動域はRS群(120.6 ± 18.1度)に比べPR群(86.9 ± 39.7度)で低かった(p=0.04).術後6ヶ月の自動外旋可動域ではRS群(20 ± 9.6度)がPR群(42 ± 17.9度)より低かった(p=0.003).最終経過観察時の可動域・筋力・JOA scoreは両群間に差はみられなかった.一次修復不能な腱板断裂に対するRSでは早期に自動挙上が,PRでは早期に自動外旋が得られていた.