肩関節
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筋腱疾患
鏡視下腱板修復術後の静脈血栓塞栓症発症症例の検討
結城 一声鶴田 大作鈴木 朱美佐竹 寛史高木 理彰
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2019 年 43 巻 2 号 p. 559-562

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抄録

 本研究の目的は,鏡視下腱板修復術(ARCR)後の静脈血栓塞栓症(VTE)発症例を調査し,VTE発症症例について検討することである.ARCRを行った70例(男性43例,女性27例)を対象とし,術前日,術後1日,4日,1週,2週に,フィブリン関連マーカーのD-ダイマー(DD)および可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)を測定し,DDが10 μg/mlもしくはSFMCが20 μg/ml以上であった時点で,下肢静脈エコーもしくは造影CTを試行しVTEの有無を評価した.VTE評価した13例中術後VTE発症を認めたのは5例で,全例下腿に認め,そのうち無症候性肺血栓塞栓症を2例に認めた.5例の手術時平均年齢は70歳で有意に高く,術前のVTEリスク因子数,罹病期間,手術時間に差はなかった.5例の平均DDは術後4日と1週のみ,SFMCは術後1日以降2週まですべて有意に高かった.VTE発症はARCR後にも生じることがあり,特に高齢者で注意が必要である.また,術後のSFMCとDDの経時的評価はVTE発症検出に有用である可能性がある.

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© 2019 日本肩関節学会
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