抄録
手術加療を行った肩関節拘縮症例について検討した.肩関節拘縮の診断のもと鏡視下手術を施行した37肩を,腱板断裂の有無で断裂あり群18肩となし群19肩に分けた.ASD施行数の調査と,2群間においてISAKOSの定義に基づく高度な拘縮症例の有無の比較を行った.また術前と最終経過観察時のJOA score,visual analog scale(VAS),肩関節可動域それぞれの比較も行った.ASDは断裂あり群17肩(94.4%),なし群17肩(89.4%)に施行された.高度な拘縮症例の有無については2群間で有意差を認めなかった.JOA score,VAS,肩関節可動域は両群ともに術後有意に改善した.両群ともにASDを高率に要し,肩峰下インピンジメント現象が動態にて確認された.高度な拘縮は全層断裂でも生じており,疼痛コントロールが得られない腱板断裂合併例では,鏡視下に腱板修復と授動術を同時に行うことで,良好な結果が得られると考えられた.