2020 年 44 巻 2 号 p. 350-353
Suture-bridge(SB)法は,関節鏡下腱板修復術(ARCR)において,初期固定力の高さに加え,縫合する回数が少なくて済む簡便さから主流となってきている.しかし,SB法では解剖学的な修復が困難な症例を経験したため,footprint(FP)外側縁にアンカーを追加し,断裂腱を整復した状態でSB法にて固定を行うtriple-row(TR)法を考案した.今回,SB法とTR法の術後再断裂を比較検討した.
一次修復が可能で,術後6ヶ月以降にMRI撮影が可能であったSB法212肩(男127肩,女性85肩,手術時年齢64.8歳),TR法206肩(男111肩,女性95肩,手術時年齢66.3歳)を対象とした.再断裂はMRIにてSugaya分類で評価し,type別再断裂率の統計学的処理にはカイ2乗検定を用いた.
SB法ではSugaya分類Type1+2,3,4,5が165肩(76.4%),24肩(11.3%),6肩(2.8%),20肩(9.4%), TR法ではそれぞれ170肩(82.5%),16肩(7.8%),12肩(5.8%),8肩(3.9%)であり,TR法ではSB法に比べてType5が有意に減少した.
FP外側縁に断裂腱を整復してからSB法で固定するTR法により,大きな再断裂を減らすことができた.