抄録
本研究では,腱板断裂肩における肩甲骨の運動異常と姿勢不良との関係について検討した.対象は,地域在住高齢者363名とした.対象者は,問診と超音波診断によって,腱板断裂が検出された高齢者64名(腱板断裂群)と,腱板断裂が否定された高齢者299名(非腱板断裂群)に分類した.肩甲骨運動の評価は,下垂位および挙上時における肩甲骨の非対称性の有無を判定した.姿勢評価は,Kendall分類を用いて姿勢不良の有無を判定した.分析の結果,肩甲骨運動異常および姿勢不良の割合は,非腱板断裂群と比べて腱板断裂群で有意に高かった(p < 0.05).また,非腱板断裂群では肩甲骨の運動異常と姿勢不良の間に有意な関連が認められたが(p < 0.05),腱板断裂群では両者の間に有意な関連は認められなかった.これらの結果より,肩甲骨の運動異常と姿勢不良は,それぞれが個別に腱板断裂の有無と関連する.一方,腱板断裂肩に検出される肩甲骨の運動異常と姿勢不良は,必ずしも関連しないことが示された.