抄録
本研究では,地域在住高齢者を対象に,上腕二頭筋長頭腱(LHB)病変を含む腱板断裂肩の疫学調査を行うとともに,理学所見や身体機能との関連性について検討した.対象は,60歳代から80歳代までの地域在住高齢者334名668肩とし,超音波診断装置を用いて腱板断裂およびLHB病変の有無を調査した.超音波所見によってLHB病変を含む腱板断裂肩と非断裂肩の2群に分類し,背景因子,理学所見,身体機能評価を比較した.分析の結果,LHB病変を含む腱板断裂肩の有病率は8.2%であった.年代別の割合は,60歳代2.7%,70歳代7.0%,80歳代14.9%であり,有痛率は45.5%であった.多変量解析の結果,高年齢,現在の肩痛,Speed's test陽性,外転可動域の低下が説明変数として抽出された(p < 0.05).これらの知見より,年齢,肩痛,Speed's test陽性,および外転可動域の制限は,LHB病変を含む腱板断裂肩の特徴である可能性が示された.