肩関節
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変性疾患
全人工肩関節置換術後の腱板断裂:超音波検査による検討
中溝 寛之堀江 亮祐
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2022 年 46 巻 2 号 p. 423-426

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抄録

 全人工肩関節置換術(以下TSA)後の腱板の状態を超音波検査により評価し,術後成績との関連性について検討を行った.対象は変形性肩関節症または上腕骨頭壊死に対してTSAを施行した17例21肩(男2肩,女19肩)である.平均年齢は73(53-84)歳,平均観察期間は47(24-74)ヵ月であった.検討項目は臨床スコア,肩関節自動可動域および超音波検査における腱板断裂の有無,単純X線像での評価などである.JOAスコアは術前52 ± 7.0点から術後87 ± 5.6点に改善した.肩関節自動可動域(平均)は屈曲術前94度から術後141度へ,外転76度から130度へ,下垂位外旋22度から44度へ,下垂位内旋L4からL1へと改善した.超音波検査では肩甲下筋腱断裂を4肩(19%)に,棘上筋腱断裂を3肩(14%)に認めた.腱板断裂の有無にかかわらず臨床成績には有意差を認めなかった.超音波検査はTSA後の腱板の状態を観察するのに有用であると考えられた.

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© 2022 日本肩関節学会
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