肩関節
Online ISSN : 1881-6363
Print ISSN : 0910-4461
ISSN-L : 0910-4461
変性疾患
上腕二頭筋長頭腱固定術における解剖学的制限
馬谷 直樹竹原 元司
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 46 巻 2 号 p. 418-422

詳細
抄録
 SLAP損傷や上腕二頭筋長頭腱(LHBT)炎・損傷に対してLHBT固定術が行われている.近年,LHBT固定術において上腕骨髄腔径(骨孔の深さ)の不足による固定材料の前方突出や対側皮質骨の破綻などの解剖学的な制限が欧米から報告されている.しかし欧米人より比較的小さい日本人で骨孔の深さの不足がどの程度生じるかは未だ十分分かっていない.本研究は,日本人を対象にCT検査で骨孔の深さを計測し調査した.骨孔の深さは,suprapectoral tenodesisでは平均22.6 ± 4.2 mm,subpectoral tenodesisでは平均16.5 ± 2.2 mmで,両者とも身長と相関関係を認めた.一般的にLHBT固定術で使用されるinterference screwのscrew長は12 mm以上でありLHBTの腱厚を考慮すると骨孔の深さは15 mm以上必要だが,骨孔の深さが15mm未満の症例は,suprapectoral tenodesisでは2肩(3.7%)に,subpectoral tenodesisでは16肩(29.6%)に存在していた.日本人へのLHBT固定術は,骨孔の深さの不足による術中,術後合併症を避けるため,固定部位や固定材料の選択に注意を払う必要がある.
著者関連情報
© 2022 日本肩関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top