抄録
拘縮を有する腱板断裂患者に対して手術時に麻酔下徒手関節授動術(MUA)を行った後,関節鏡視で関節内所見を評価して,拘縮の方向とMUAの際に轢音を聴取した肢位,損傷した関節内組織の関連を評価した.対象は腱板断裂に対して鏡視下腱板修復術を施行した患者で,手術時麻酔下の徒手検査で拘縮を認めてMUAを行い,少なくとも一つの肢位で轢音を聴取して可動域の改善を認めた24例24肩である.全例が屈曲拘縮を含む3方向以上の拘縮を有する症例で,MUAにより外転拘縮を認めなかった1肩を除いて全例でAIGHL損傷が起こっていた.しかし,下垂位外旋拘縮を有する症例にMUAを行って可動域が改善されても関節包やSGHL,MGHLといった前上方の関節内組織に損傷が起こっていない症例も認められた.これは屈曲拘縮と外転拘縮を有している症例ではAIGHLが大きな影響を与えていること,また下垂位外旋拘縮が改善する際には必ずしも前上方の関節内組織の損傷が起こるわけではなく,前上方の関節内組織が引き延ばされた可能性や,前上方の関節内組織以外に起こった損傷により下垂位外旋可動域が改善した可能性が考えられた.