抄録
肩鎖関節脱臼Rockwood分類のType IIIは静的安定化が破綻するが,動的安定化に関して明らかでない.本研究の目的は,主に肩鎖関節脱臼Ⅲ型(症例群)における肩関節周囲筋の筋活動を測定し,動的安定化と代償動作について検討することである.対象は肩鎖関節脱臼Type IIIの症例群14名と健常群20名とした.三角筋,僧帽筋,前鋸筋の表面筋電図を測定し,肩屈曲0° と30° 保持の筋積分値(μVs)を求めた.各筋で群間と角度の二要因分散分析にて検討した.僧帽筋上部では群間で有意な主効果を認めた(p < 0.01).三角筋前部では,屈曲30° で症例群が健常群と比較して有意に筋積分値が低下した(p < 0.05).前鋸筋では,屈曲30° で症例群が健常群と比較して有意に筋積分値が増加した(p < 0.05).症例群の肩屈曲保持における肩関節周囲筋の筋活動は健常者と異なった.肩鎖関節の動的安定化および代償動作を理解することが肩鎖関節脱臼のリハビリテーションにおいて重要と考える.