抄録
肩鎖関節脱臼は高頻度に認める外傷で,近年その外科的治療として烏口鎖骨靭帯(CCL)再建術が多用されるようになったが,その最適な再建法は確立していない.本研究の目的は,1ルート再建と2ルート再建によるCCL再建術の術後成績を比較することである.対象は急性期肩鎖関節脱臼に対して鏡視下CCL再建術を実施した症例12肩とし,1ルート再建を実施したI群8肩と2ルート再建を実施したII群4肩に分類した.手術時間,術後1年での可動域,肩峰下面-鎖骨下面間距離(ACD),および鎖骨-烏口突起間距離(CCD)を両群間で比較した.患者背景および手術時間で両群間に有意差はなかった.術後1年での可動域は両群間で有意差なく,ともに良好であった.術後1年でのACDは両群間で有意差なかったが,CCDで有意差を認めた.肩関節の機能面において,1ルート再建および2ルート再建による鏡視下CCL再建術は共に有用だが,術後の整復位保持においては2ルート再建がより好ましい可能性を示唆した.