2025 年 49 巻 2 号 p. 369-374
本研究は,初回かつ投球側の外傷性肩関節前方脱臼を呈した高校生野球選手5例に対する保存療法の臨床成績を報告するものである.全選手は,肩関節の不安定性を自覚し,MRI検査によってBankart病変を認めた.保存療法として,4週間の固定中から全身コンディショング,固定解除後には可動域練習と筋力トレーニングを開始した.競技復帰に必要な動的な安定性は肩関節外転位での内・外旋筋力,柔軟性は体幹後屈角度で評価した.投球練習開始の基準はAnterior apprehension testの陰性化,体幹後屈角度90°以上,内・外旋筋力の健患比80%以上の獲得,全力投球開始の基準は健患比90%以上とした.これらの基準に則り,投球練習を進行した.結果,全例が受傷前と同等の競技レベルで復帰し,競技復帰の期間は平均112±47日であった.これらの基準は,投球側肩関節前方脱臼後の保存療法における競技復帰に有用であると考えた.