抄録
デンタルインプラントによる補綴を成功させるために質の高い骨の存在が重要である.骨を形成する骨芽細胞と骨髄の脂肪細胞は共通の前駆細胞である骨髄間葉系幹細胞から分化する.加齢や骨粗しょう症などでは骨髄間葉系幹細胞の骨芽細胞分化,脂肪細胞分化のバランスが崩れ脂肪細胞が増加し,骨芽細胞が減少することで結果として骨量が減少する.この骨髄間葉系幹細胞の脂肪細胞,骨芽細胞への運命決定メカニズムについては様々な因子の関与が考えられているが,我々はこれまでに骨形成タンパク質BMPの一つBMP3と転写共益因子の一つTLE3に着目し,それぞれが骨髄の間葉系幹細胞の脂肪分化を促進し,骨芽細胞分化を抑制するメカニズムを明らかにした.これらの結果より,もしBMP3やTLE3の発現や活性を低下させる方法が開発できれば,質の高い骨を維持したり再生したりすることが可能となるかもしれない.