九州歯科学会雑誌
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当院における広範囲顎骨支持型装置の現状と今後の展望
向坊 太郎正木 千尋細川 隆司
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2022 年 76 巻 1-2 号 p. 21-25

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抄録
広範囲顎骨支持型装置は広範囲な顎骨欠損に対して健康保険が適応される治療法であり,保険収載後10年が経過 した.本附属病院においてもこれまでに16名の患者に対し55本の広範囲顎骨支持型装置が患者に埋入されてきた. 埋入された広範囲顎骨支持型装置の予後をKaplan-Meier法により累積生存率を算出したところ,観察期間107カ月 で67.3%であった.また原疾患により16名を2群に分類し,比較したところ,悪性腫瘍切除後の顎骨再建および広範 囲顎骨支持型装置の累積生存率は良性腫瘍・外傷後の累積生存率に比較し,有意に低い値を示した.また悪性腫瘍を 原疾患とする広範囲顎骨支持型装置の生存曲線は,通常のインプラント治療の生存曲線と異なり埋入後1年以降も脱 落・除去が散発していた.これらの結果は悪性腫瘍切除後の顎骨再建部における広範囲顎骨支持型装置の長期維持が その他の原疾患に比べて困難であることを示している.今後,広範囲顎骨支持型装置の埋入前後の口腔機能の客観的 評価データを蓄積することにより患者ごとのリスク評価を可能とすると共に,専門診療科の連携により患者QoLの 向上に努める必要がある.
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