抄録
口腔機能は,一般的に成長とともに増加し,ピークを迎えたあと経年的に低下していくと考えられている.しかし,すべての口腔機能がこのような曲線を描くかどうかについてはあまり知られていない.それでも,口腔機能の発達が遅れている場合,あるいは停滞している場合は早期に歯科医師が介入し,正常な段階へと引き上げる方策が必要である.我が国では,2018年4月に「口腔機能発達不全症」という新たな疾患名が保険収載され,歯科医師が口腔機能の定期的な管理や指導を行う必要があることを国から提言されている.口腔機能は,咬合力,舌圧,口唇閉鎖力,咀嚼,嚥下など様々な機能の統合の上に成り立ち,小児期の比較的早い時期に獲得されるものもある.その影響は,口腔機能の発達不全のみならず歯列や顎顔面形態の形成にまで及ぶ.したがって,歯科医師は,小児患者のう蝕治療や咬合育成を行うなかで,口腔機能が正常かどうかを常に見極めていかなければならない.