抄録
持続可能な社会を実現するために、個人から国・地域そして地球レベルのウェルビーイングの向上に向けて、人びとが社会課題に対して適切に向き合うことのできるよう、多文化共生・異文化理解の土壌を育むことが肝要である。そのためには、自然科学の知に加えて、それらを結節・包摂していく人文・社会科学の知との融和が必須であり、大学博物館のオブジェクトを用いた分野横断型学習であるオブジェクトベーストラーニングが有用である。本稿では、ミュージアムのオブジェクトを用いたアクティブラーニングであるオブジェクトベーストラーニングの教授手法ならびにコミュニケーション手法としての機能について論じながら、著者らによる分野横断型学習としてのケーススタディについて記述する。その上で、オブジェクトテラピーを含むオブジェクトベーストラーニングの機能拡張が人びとのウェルビーイングにいっそう役に立っていくであろうことを展望する。