The KeMCo Review
Online ISSN : 2758-7452
Print ISSN : 2758-7444
特集研究ノート
問いかけ、対話する考古学展示:『構築される「遺跡」』展が目指したもの
岩浪 雛子畑中 乃咲佳山口 舞桜
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 2 巻 p. 78-93

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抄録
本稿は、2023年春に慶應義塾ミュージアム・コモンズで開催した展覧会『構築される「遺跡」:KeMCo建設で発掘したもの・しなかったもの』における取り組みを振り返るものである。本展は、KeMCoの活動拠点である三田キャンパス東別館を建設するにあたって実施された発掘調査の成果を紹介することを目的に企画された。しかし、展示準備を進める中で、ただ成果を紹介する一般的な展示とは一線を画し、発掘主体が選択した「発掘したもの」(出土資料・調査記録)のみで展示を構成するのではなく、様々な事情によって調査対象にならなかった「発掘しなかったもの」に敢えて目を向けることにした。また、来館者との双方向的な意見交換を目指した幾つかの仕掛けの導入も試みることにした。本稿では、これら取り組みについて、実践を通じて生じた具体的な出来事や発見、反省点や課題も織り交ぜながらまとめていく。最後に、パブリックと歴史学という視点から本展の総括を行う。
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