The KeMCo Review
Online ISSN : 2758-7452
Print ISSN : 2758-7444
視覚化された彫刻概念:ルネサンス期における版画・素描と「古典性」の制度化
新倉 慎右
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ジャーナル オープンアクセス

2026 年 4 巻 p. 45-63

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抄録
本論文は、ルネサンス期において古代彫刻が単なる過去の遺物ではなく、美術の規範を形成する中心的な参照項として位置づけられた背景に、版画や素描といった視覚資料が決定的な役割を果たしたことを考察する。古代彫刻は版画や素描によって抽象化・アーカイヴ化され、「理想形式」としての古典性を形成していった。本論文ではヘームスケルクの素描帳やアントーニオ・ラフレリの『ローマの壮麗なる鏡』、カッシアーノ・ダル・ポッツォの「紙の博物館」といった実践を手がかりに、古代と同時代の彫刻作品が紙上で併置・比較されることで、ルネサンス期の芸術家や連論家にとっての「古典性」の意味が可視化され、同時に制度化されたことを明らかにしていく。結論として、ルネサンスにおける「古典性」を、実物の彫刻作品のみによってではなく、むしろその複製物の流通と配置、そして紙上の比較によって継続的に再生産された、動態的な知的基盤として再定義する。
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