2024 年 59 巻 2 号 p. 82-87
クライオ電子線トモグラフィーは,生理的条件に近い急速凍結生物試料の三次元構造を数nmの空間分解能で取得できる.しかしながら,電子線の透過性によりクライオ透過電子顕微鏡(クライオTEM)で観察できる領域は,培養細胞の辺縁部などの薄い領域に制限されている.試料の厚さによる観察可能部位の制限をなくし,核などの細胞内深部構造をクライオTEMで観察することを目的としてクライオFIB-SEMは開発された.しかしながら,クライオFIB-SEMを用いた凍結試料の切削は操作手順が複雑であるため,手動で作製したラメラの質や状態は実験者の経験に依存してしまう.したがって,クライオFIB-SEMを用いて安定してラメラを作製するためにはラメラ自動作製法の確立が重要である.本稿では,クライオFIB-SEM,手動でのラメラ作製法,そして,著者らが確立したラメラ自動作製法について概説する.