日本健康教育学会誌
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原著
日本人成人における健康増進に寄与する推奨身体活動の充足に関連する自宅近隣の環境要因
石井 香織岡 浩一朗井上 茂下光 輝一
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2010 年 18 巻 2 号 p. 115-125

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抄録

目的 日本人成人を対象とし,健康増進のために推奨されている身体活動に関連する主観的評価による自宅近隣の環境要因を明らかにすることとした.
方法 30-59歳の3,000名を対象にウェブ調査を実施した.身体活動と環境要因は日本語版国際標準化身体活動質問紙(IPAQ)及びIPAQ環境尺度により調査した.また,社会的要因(性,年齢,婚姻状況,就労状況,同居人数,教育歴,世帯収入)を自記式質問紙により調査した.男女別に,社会的要因を調整し,推奨される身体活動量を満たすことに関連する環境要因のオッズ比を算出した.従属変数は,(1)歩行,(2)歩行以外の中等度以上の身体活動,(3)中等度以上の身体活動((3)=(1)+(2))とし,それぞれ,週あたりの実施時間が150分未満と以上の2群に分類して分析した.
結果 150分以上の歩行及び中等度以上の身体活動と有意な関連が認められた環境要因は,スーパーや商店へのアクセスが良いこと(男性:OR=1.44,女性:OR=1.73),バス停/駅へのアクセスが良いこと(OR=1.75,1.88),目的地が多いこと(OR=1.62,1.44)であった.また,景観が良いことは歩行以外の中等度以上の身体活動(OR=1.30,1.39)及び中等度以上の身体活動(OR=1.41,1.43)と関連していた.レクリエーション施設があることは,3つ全ての身体活動と関連していた.さらに,十字路/交差点があること(OR=1.32,1.44),自動車・オートバイを保有していること(OR=1.66,1.85)は歩行と,運動実施者を多く見かけること(OR=1.48,1.35)は歩行以外の中等度以上の身体活動と関連していた.
結論 日本人成人において,運動実施に関する環境要因は,歩行以外の中等度以上の身体活動と関連し,生活活動における環境要因は,歩行及び中等度以上の身体活動と関連しており,自宅近隣の環境要因の種類は,異なった種類の身体活動と関連があることが明らかとなった.

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© 2010 日本健康教育学会
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