目的:日本歯科医師会が提案する「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル(通称「生活歯援プログラム」)を適用した新しい成人歯科健診プログラムに取組み,その効果を評価した.
方法:北海道内の29の事業所において実施した歯科健診を受診した者のうち,複数回の歯科保健指導を受け,その前後に2回の質問紙調査に応じた577人(19~64歳)の歯・口腔に関する自覚症状や口腔保健行動のデータを分析した.
結果:口腔保健行動として,「歯みがき回数」は,1日の3回以上の者が29.7%から38.7%に,「歯間ブラシまたはフロス」を毎日使用する者は10.4%から20.6%に,それぞれ有意に増加した.また,歯・口腔に関する自覚症状として,「歯肉の腫れ」,「冷たいものや熱いものが歯にしみる」などが有意に改善した.
結論:新しい成人歯科健診プログラムは,職域における成人歯科保健向上のために有用であることが示唆された.