日本健康教育学会誌
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特別報告
ヘルスプロモーション再考:その潜在力強化のために
神馬 征峰
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2013 年 21 巻 3 号 p. 245-252

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抄録

背景:1994年以降ポピュレーション・ヘルスの波が高まるにつれ,とりわけカナダではヘルスプロモーションが下火となり,ヘルスプロモーションの価値見直しの検討がなされてきた.注目すべき事項として,本稿では3つの課題をとりあげる.第1に「ヘルスのプロモーション」と「ヘルスプロモーション」の違い,第2にヘルスプロモーションにとって望ましいエビデンス,第3にヘルスプロモーションの発展過程についてである.
内容:第1に,「ヘルスのプロモーション」とは,健康を増進しようと思っている人すべてにあてはまる共通な言説である.一方「ヘルスプロモーション」は「健康に影響を及ぼすライフスタイルや生活状態を計画的に変容させていく」ための専門分野ととらえるべきである.第2にエビデンスに関しては,プロミスィング・プラクティス(有望実践例)がより適切であるとの動きがある.有望実践例とは,「ベスト・プラクティスと称するほどには十分(科学的に)評価されていないかもしれないけれども,輝きに満ち(illuminating)かつ心をゆさぶる(inspiring)実践例」である.最後に,ヘルスプロモーションの発展プロセスとして,ツリー型(樹木型)に対して,ヘルスプロモーション活動があちこちから生じるリゾーム型(地下茎型)の発展がみられている.
結論:公衆衛生分野においてヘルスプロモーションの定義をより専門的なものと捉え,有望実践例が,リゾーム型に発展していくプロセスに今後注目すべきである.

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© 2013 日本健康教育学会
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