日本健康教育学会誌
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実践報告
プリシード・プロシードモデルを活用した「いじめ防止プロジェクト」 の実践と評価
佐久間 浩美朝倉 隆司
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2016 年 24 巻 4 号 p. 217-230

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抄録
目的:高校生が主体的に実践した「いじめ防止プロジェクト」のプロセスとアウトカムを評価することである.
方法:本研究は,ヘルスプロモーション・アプローチをいじめ防止に適用しプリシード・プロシードモデルを活用した実践研究である.いじめ防止プロジェクトの参加者はA高等学校の生徒723名であり,プロセス評価ではプロジェクトチームが行ったいじめ要因分析や計画立案の過程,いじめ防止集会,文化祭発表,ピアカウンセリングの活動を検討した.アウトカム評価では,プロジェクト開始前と開始1年後のいじめ役割行動といじめ意識の比較,さらにプロジェクト終了後のチームメンバーの感想記述を分析した.
結果:プロセス評価では,プリシード・プロシードモデルの活用は,対象校の実態に沿う計画立案に役立ち,活動は肯定的に受け入れられたことが示された.しかしピアカウンセリングの利用件数は少なかった.アウトカム評価に用いた被害者,加害者,傍観者,相談者のいじめ役割行動の得点は,事前より事後の方が低かった.いじめ意識では,いじめは教員が対処すべきとの記述が減り,いじめを注意し解決に導くとの記述が増えていた.またプロジェクト終了後のチームメンバーのいじめ意識は変化していた.
結論:プロセス評価とアウトカム評価から,高校生主体のいじめ防止プロジェクトは,参加者に肯定的に受け入れられ,事前と事後でいじめ役割行動やいじめ意識に差がみられた.
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© 2016 日本健康教育学会
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