日本健康教育学会誌
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原著
ゆっくりよく噛んで食べている成人の主食・主菜・副菜をそろえた食事の摂取頻度
濱下 果帆赤松 利恵
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2023 年 31 巻 3 号 p. 110-116

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抄録

目的:ゆっくりよく噛んで食べる要因として,主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度が関係するかを検討すること.

方法:2018年に農林水産省が実施した「平成30年度食育に関する意識調査」で得た,満20歳以上1,824人分のデータの二次解析を行った.対象者を咀嚼習慣によって2群に分け,カイ二乗検定,ロジスティック回帰分析を用いて主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度を調べた.なお,ロジスティック回帰分析では,ゆっくりよく噛んで食べることに影響を与える可能性のある属性,時間のゆとり,健康を意識した食生活の実践の項目を含めて検討した.

結果:解析対象者1,813人(解析対象率:99.4%)のうち,ゆっくりよく噛んで食べている群は914人(50.4%)であった.ゆっくりよく噛んで食べている群には女性が多く,時間のゆとりがある,健康を意識した食生活を実践している,主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度が高い者が多かった.またこれらすべてを同時に投入したロジスティック回帰分析の結果でも,主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度が「毎日」ではゆっくりよく噛んで食べているオッズ比が高かった(オッズ比[95%信頼区間]:1.28[1.04, 1.57],P=0.017).

結論:時間のゆとりや健康意識を考慮しても,ゆっくりよく噛んで食べていることと主食・主菜・副菜をそろえた食事の頻度の高さは関連していた.

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© 2023 一般社団法人日本健康教育学会
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